NPO法人尼崎市身体障害者連盟福祉協会のブログです。当連盟に関する様々な情報を提供します。
睦月 「呼吸器と鍼1」
私たちがこの世に生まれて産声を上げた瞬間から、息の根が絶える時まで胸にある左右の肺は拡張と収縮を繰り返し、休むことなく呼吸運動を続けています。健康な成人の肺はどのぐらいの空気を吸い込み、吐き出しているのでしょうか?
ひと息で400ccの空気を吸い込むとして計算してみましょう。
1分間に18回呼吸すると、400×18=7200「約7リットル」、1時間では、7×60=420リットル。
1日では、420×24=1万80リットル。これを家庭用の灯油缶で換算すると、肺は毎日560缶分の空気の入れ替えをしていることになります。そして、この空気から体に必要な酸素を取り込み、体内にできた炭酸ガスを排出しています。ところで、このような大きな仕事をしている肺には自力で拡張したり、収縮することはできません。実は、胸郭特に肋骨が広がり、横隔膜が収縮する胸郭運動によって肺は受動的に広げられたり、縮んだりしているのです。まず、空気を吸い込むときには肋間筋の働きで肋骨が引き上げられ、胸が広がり、同時に横隔膜が引き下げられて胸郭が広くなり、肺は拡張します。次に、息を吐くときは肋骨は重みと筋の弾力性によって自然に下がり、横隔膜は腹圧によって押し上げられ、胸は狭められます。これが無意識の安静時呼吸の仕組みです。これに対して私たちが息遣いを意識したり、努力して呼吸をする場合があります。一番わかりやすいのは運動や労働により息遣いが大きく早くなり、また、精神的な過度の緊張や高ぶりでも呼吸は速く浅くなります。心配のいらない一時的な生理反応です。
さらに、身体的・精神的な病気により、息苦しくなったり、呼吸困難になる場合があります。
これは医師の手当てが必要な場合です。針治療は病的症状に対しても充分効果を発揮します。
次回には治療例を交えながら記したいと思います。
「気をわずらえば身を侵し、身をわずらえば気を減ず」 「2013年1月・鍼灸柔整新聞より」
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