NPO法人尼崎市身体障害者連盟福祉協会

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理事長の健康コラム No.5

皐月 「隔週治療10年」                                           
1960年生まれの女性Sさんの初診は、2003年2月24日。腰痛でおみえになり、それ以来、現在も隔週で来院されています。主訴の腰痛は急性痛ではなく慢性の疲労性腰痛で、どちらかといえば予防的治療、ボディーケアです。 Sさんの家族は、重度障害のご主人と、老人施設職員の息子さんの3人です。Sさんは昼夜を問わずご主人を見守り、介助するかたわら、週に2、3日専門学校の講師を勤めておられます。勤務の日は、ご主人に介護者がついているとのことです。
 Sさんへの治療は、「今日はどんな具合ですか? 特につらいところがありますか?」の声かけで始まり、「いつもと同じようです」という返事を聞いて治療を開始します。はりを中心に軽い後按法を加え、左右の側頭部から頚、肩へ移り、うつ伏せになってもらい、背骨の際と、背筋を仙骨部まで触診し、所見に従ってはりと手技を施します。最後に仰向けになってもらい、のどや眉間へのはりと軽い指圧、さらに徒手による頚の牽引をして終わります。
 初診から10年、Sさんの体にも年齢的な変化がみられます。主訴の腰痛はご主人の介護疲れが原因であり、背部から腰、お尻にかけてのこりや痛みは慢性的なもので、「疲れは早く、治りは遅い」という加齢現象でした。時にみられる声枯れなど、のどの症状は講義によるもので、パソコン作業の目の疲労も重なります。 Sさんは肥満気味ですが体力充分。おおらかで屈託なく話し、気持ちよくほがらかな笑い声。毎回楽しく会話してくださいます。こまめに草木を育て、料理も好き。毎日の犬の散歩も続けておられます。治療は、毎回同じような部位へ、同じようなはりと手技を施しますが、はりの刺し入れ方、刺す速度、刺し入れ後の術は同じではありません。与える刺激の度合いは触診所見に従い、毎回手の感覚で加減しなければなりません。教科書どおりのつぼや反応点はないのです。治療は所見に素直に応じることが必要なのです。
  
『点字読む 指がとらえる つぼどころ』
「2013年5月・鍼灸柔整新聞より」 

  • 2013.08.21 Wednesday
  • 10:00

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